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ホメオパシー獣医師向け講座 第94回


Latrodectus mactans クロゴケグモ

Latrodectus mactansは、北米南部、中南米に生息するクモ綱クモ目ヒメグモ料ゴケグモ属に属する黒い蜘蛛で、強力な神経毒を持っています。このクモは、草地や野原、道路脇、民家の庭などに見ることが出来ます。一般的には、Black widow spiderブラックウィドー(黒い未亡人)と呼ばれています。これは、受精後にメスがオスを食べてしまうことに由来します。体長はメスが大きいもので1.5cm、8本の肢は2.5cmにまでなり、一方オスは大きくても体長5mmくらいです。その名の通り、体は全身黒が基調ですが、斑紋にはバリエーションが多く、同一卵のうから発生したクモでも、その紋様はすべて微妙に異なります。成熟したメスは、腹部腹面の鮮やかなオレンジや赤色の斑があり、それ以外は黒色、脚も全部黒色です。
ゴケグモ属のクモは,どの種も見かけは小さいが,咬まれた後の苦痛が大きく,古くから世界三大毒グモの一つとして最強の毒を持つことで有名です。(世界でおよそ4万種の蜘蛛目の中で三大毒蜘蛛は、クロドクシボグモPhoneutria nigriventer、シドニージョウゴグモAtrax robustus、クロゴケグモLatrodectus mactansと言われています。)映画などでよく見る有名なタランチュラよりもはるかに強い毒を持っています。
クロゴケグモは,不規則網というタイプの網を作ります。不規則網には巣域と捕獲域があり,地表面に下ろした糸の端には粘着性の球が作ってあります。サソリなど地表を移動する昆虫が、この粘球に接着して動くと、昆虫が吊り上がるというトラップになっています。このように捕獲は定住性で、攻撃性はありません。クモは虫が吊り上ったことを網の振動で感知して獲物の虫に近づくと,まず離れたところから捕り縄のような粘糸をさらに投げかけて虫をからめて動きを封じていきます。この粘糸が,クロゴケグモの特徴になっています。クロゴケクモは虫の動きを充分封じてから、咬みついて神経毒を注入して麻痺させます。その後,虫を糸で引いて網の中央へ運んでから捕食します。

クロゴケグモの毒には、アルカリ性で、セロトニンなどの発痛成分、筋肉にけいれんや麻痺を起こすα-ラトロトキシンなどの神経毒成分、アナフイラキシーショックを起こす高分子成分、リポプロテイン、ガンマ-アミノ酪酸、ヒアルロニダーゼ、細胞毒性プロテアーゼなどが含まれています。マウスを使った実験では、0.1mgという微量で致死に至ります。クロゴケグモ刺咬症の主な症状をもたらす成分は神経毒です。この神経毒は、判っているだけでも15種類以上あり、αラトロトキシン、βラトロトキシン、ラトロデクティン、αラトロインセクトトキシンなど判明しているそれぞれの成分ごとに様々な作用を示します。毒性が強いのは、クロゴケグモのメスです。毒は、運動神経終末の神経筋接合部に作用します。主な症状は下記に示したように、コリン作用性の刺激(分泌の促進、筋拘縮等)とアドレナリン作用性の刺激(頻脈、血圧上昇、心臓に影響等)が二重に起こることによって発現します。

クロゴケグモによる咬傷時の痛みはそれ程強くはありませんが、およそ10分から60分後には全身症状が現れてきます。咬まれた状況やクモの性別、咬まれた側の個体の差によって症状は異なりますが、およそ20%の例に強い全身症状が発現しています。毒液の量が少ないので、重症になることは少ないようです。主な症状は、全身に分布する自律神経末端に作用し、シナプス前膜において、アセチルコリン等を放出枯渇させることによって起こります。咬傷部位からリンパ管を通して近隣各部のリンパ節に広がる耐えられないほどの痛みが起こり、筋肉が硬直するのが特徴的です。多量の汗や涙、涎が出て、切迫した死を覚悟する程の激しいアンギナ様の狭窄性前胸部痛が左腕または両腕に広がります。その時に腹部までひどい痛みが広がることもあり、また手足の先端はしびれています。心電図では、P派の増高やST-Tの下降、T波の逆転などが見られることがあります。嘔吐、血圧上昇、頻呼吸、呼吸困難(窒息する恐怖も感じます)、心臓の冠状動脈の血流量の減少、言語障害、感覚の麻痺などが起こり,回復しない場合(0.5%)は,2〜3日後に死亡します。抗血清が作られて以降は、アナフイラキシーショックによるもの以外の死亡例は,ほとんどなくなりました。
局所と全身の主な症状は、数日で和らいでいきますが、身体的精神的なダメージは深いところで留まるために、完全な回復には数週間から数ヶ月かかります。特に神経系の症状は長く残ります。特に、筋力の低下、感受性や神経反応の低下、頭痛、情動不安、不眠症、四肢の知覚異常、視野範囲の縮小などが残りやすい症状です。


Latrodectus mactansは、JonesとTafelによって1889年にレメディーとして紹介されました(Homoeopathic Recorder)。当時はあまり厳格なプルービングはされていませんでしたが、最近のテクノロジーによって、毒液の毒性研究は飛躍的に進みました。

ホメオパシーにおいて、Latrodectus mactansは、主に心臓に対して使われます。
☆ 心臓
心筋梗塞、狭心症

(重要)このレメディーを使う時はいつも緊急時です。速やかに痛みと精神的不安を和らげます。このレメディーは、非常に有用ですが、いかなる状況下でも必ず心臓発作の治療を出来る限り速やかに行う必要があります。(一般的には30cを2-3時間おきと覚えていてください。状況により、より頻回に投与します。)

皮膚が冷たい感触になります。
冷たい水を欲しがります。
好転する要因は、静かに座っていること、温かいお風呂などです。
悪化する要因は、わずかな動き、湿った気候、気候の変化、雷雨前、夜、アルコール酔いなどです。

Latrodectus katipoをはじめ他のクモのレメディーとの違いもよく勉強しておいてください。

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