Crotalus horridusは、北米カナダから南アメリカにかけて生息するクサリヘビ科マムシ亜科ガラガラヘビ属の毒蛇で、体長は最大2メートルにもなります。岩場や乾燥地帯に住んでいます。一般的にはガラガラヘビ、ピットバイパーと呼ばれています。年に2-3回脱皮しながら大きくなっていきます。ガラガラヘビの目のすぐ下にはピット器官という熱を感じる二つの穴があり、それによってどんな小さな温度の変化にも気付くようになっています。その感覚を使ってガラガラヘビは温血の獲物を見つけて襲いかかります。
またその尾の先端に音の発生装置がありカラカラ鳴らして、防御行為をします。尻尾は1秒間に50回以上も振動させます。
ガラガラヘビの蛇毒の組成は非常に複雑です。その中にはわかっているだけでも十数種類の加水分解酵素があります。同じガラガラヘビでも生息域によって毒の組成が微妙に違うことがわかっています。
その蛇毒の中には、神経毒作用、出血毒作用、心臓毒作用、壊死毒作用、血液凝固阻止作用、浮腫作用、血圧降下作用など多岐にわたる作用があります。クロトキシン(強力な神経毒作用を持つ)やクロタクチン(毛細血管の透過性亢進)、レクチン、トロンビン様酵素(出血毒)、壊死毒(マイオトキシンAやホスホリパーゼA2)など他にもたくさん知られています。またミネラルでは顕著に亜鉛を多く含んでいます。また最近では、アポキシン1という細胞のアポトーシスに関与する酵素も発見されています。
出血因子は様々なものがありますが、それらは、血管壁の基底膜を破壊または自滅させて、内皮細胞間隙を広げることによって赤血球が血管外へ出てしまうものと、内皮細胞を破壊することによる出血があることがわかっていますが、その詳細な機序についてはわかっていません。
これらの多くの活性物質を持つ蛇毒は、局所作用と全身作用の両方をもたらします。現場の状況により体内に入る毒の量は変わります。また咬まれた場合、患者の感受性の違いで大きく症状がかわります。ガラガラヘビに咬まれると、咬まれた直後からアイロンをあてられたような灼熱痛,浮腫(通常10分以内),咬傷個所と隣接組織の紅斑や斑状出血を起こします。中程度に咬まれた場合は、皮下の斑状出血は3-4時間で出現します。そしてリンパ管炎、局所リンパ節の腫腫が見られます。
局所組織の損傷の後に,脈管障害,溶血,汎発性血管内凝固(DIC)様(脱線維素)症候群,呼吸不全,心不全,腎不全,神経系の異常が起こります。この毒素は毛細血管の透過性亢進作用や血管壁の細胞破壊作用などによって,電解質やコロイド,赤血球が血管壁を透過し,毒が注入された個所や他臓器へ滲出していきます。そして低アルブミン血症,血液濃縮が起きて、その後,微小循環内の血液と体液が貯留する結果,ショック,低血圧,乳酸血症へと進行します。重症のガラガラヘビ咬傷では,多岐にわたる様々な凝固障害や血小板減少、低フィブリノーゲン血症、プロトロンビン時間の延長などが起きます。こうした毒物誘発性の血管内凝固はDIC様症候群に似た状態を誘発し,結果として体各所からの大量の出血(吐血,血尿など)、黒色の内出血が起きることになります。しつこい持続性の鼻血がでることもあります。溶血により皮膚の色が黄色くなることがあります。低血圧,溶血,DIC様症候群に続いて、溶血が重度でなければヘマトクリット値の急激な上昇が起こります。GFR(糸球体ろ過率)の不足により,腎不全となることがあります。一部の症例では、蛋白尿,ヘモグロビン尿,ミオグロビン尿がみられます。また神経毒としての作用は、初めはたわごとを言いますが、意識が朦朧として虚脱状態になります。末梢では麻痺や震えがきます。味覚異常も起こり、ゴムやハッカ,金属のような味がすることがあります。舌がむくんだり、舌や喉が細い糸で締め付けられるような感覚もでることがあります。
ホメオパシーで初めてプルービングしたのは、1835年から1837年にかけてDr.Constantin Heringでした。
レメディーは生きたガラガラヘビを容器に咬ませて蛇毒を採取し、乳糖にしみこませたものを原料にします。
Crotalus horridusの適用は比較的Lachesisに似ています。
Crotalus horridusは、主に黒い出血に使用します。
○ 出血
黒色の出血で凝固しないか凝固しにくい
持続性鼻出血、持続性子宮出血、
○ 脳卒中
○ 心疾患
心拍は、弱く、震えるような感じ。生理中に動悸。
胸の痛みが左下に寝ると悪化します。痛みは心臓付近から左の肩や左の腕にかけて起こります。
○ 一時的精神錯乱
敗血症時や頭部外傷後などで憂鬱な状態に。悲しくて憂鬱になり、家族が近寄るのを嫌います。感情をうまく自己表現することができません。
○ 出血傾向の強い感染症(よくPhosphorusを併用します)
胃癌など 豚肉を食べるのが好きです。
出血傾向が強い場合にも使用します。
好転する要因は、外気、運動、明かり。
悪化する要因は、Lachesisのものと類似しています。
睡眠、歩くこと、触られること、きつい服を着ること(特に首まわりのきつい服)、右下に寝ること(心疾患の場合を除きます)などです。
Lachesisと違い、右側優勢です。
Antidote; Lachesis, Alcohol. Camphor,
比較;他のよく使う蛇のレメディー; Naja, Lachesis, Crotaulus-cascavella, Elaps, Bothrops、Cenchrisなどとも比較してみてください。
|