トップページ | 統合医療 > ホメオパシー > INDEX > 講座第311回 |
ホメオパシー獣医師向け講座 第311回 |
|
Ethy sulfur dichloratumは、分子量159.1、化学式は(CH2CH2Cl)2Sの硫化ジクロルエチルです。無色〜淡黄色の油状の無刺激性の液体で、無色の蒸気を放出します。臭気は、その生成過程で不純物がわずかに混ざったものは、からし臭がするためにマスタードガスと呼ばれています。水にゆっくりと溶けていきます。また第1次世界大戦中の1917年に、ドイツ軍がベルギ−で初めて使用した毒ガスで、その地名からイペリットとも呼ばれています。現在でも世界中で生産され、湾岸戦争を始め各地の戦争で使用されています。日本でも第二次世界大戦中に、広島県大久野島において生産されたマスタードガスが中国戦線で使用されました。また、世界最初の抗がん剤の誕生はこのマスタードガスの事故がきっかけになりました。 マスタードガスは、化学構造からも決して毒性があるようには見えない中性の物質ですが、活性なクロロエチル基を持つアルキル化剤として作用します。クロロエチル基は体の中でCl-イオンがとれて環状の中間代謝産物を形成し、これがDNA、RNA、膜タンパクなどをアルキル化します。 その毒性は、糜爛剤として、空気中に1400万分の1混じっているだけで目を侵され、激しい炎症をおこし、重度の結膜炎、羞明)、眼瞼痙攣、眼球痛、角膜損傷が生じます。高濃度では、角膜および虹彩の損傷を引き起こし失明することがあります。 ホメオパシーのレメディーでは、1%のマスタードガスを96%アルコールに溶かしたものが原料として使われます。 Ethy sulfur dichloratumは、 |
(参考) 世界で最初の抗癌剤誕生は、第2次世界大戦中マスタードガスを積んだ船が沈没した事故がきっかけになっています。 この船の乗組員の多くに白血球が減少する症状が見られました。 これによってマスタードガスが白血病に効くという可能性が出てきましたが、あまりに副作用が強すぎました。1935年にマスタードガスより緩やかな作用で水溶性に改良したナイトロジェンマスタードが開発されました。 これが世界で最初の抗癌剤と言われています。1942年にはエ−ル大学で臨床実験が始まり、1943年には悪性リンパ腫に対し効果があることが示され化学療法の歴史が始まりました。このアルキル化剤で現在使われているのは、シクロフォスファミド、イホスファミド、メルファランです。 (余談) 悪性リンパ腫におけるCHOP療法とICE療法の違いはなんでしょう。 通常、悪性リンパ腫で抗癌剤を投与する場合は、CHOP(シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニソロン)を組み合わせて効果を強くします。これは、悪性リンパ腫における抗癌剤治療では、最も効果のある組み合わせと言われています。臨床では、6種類以上の組み合わせもありましたが、効果のメリットはなかったそうです。 ICE療法は、ICE(イホマイド、カルボプラチン、ラステット)を組み合わせる方法です。メリットとしては、この治療法の後の回復期に血液中に造血幹細胞がたくさん出てくるので、採取しやすいのが、特徴です。治療自体は、CHOP療法の方が効果が強いのですが、再発したリンパ腫の治療などで、使われ始めています。 これらの抗癌剤は、併用するホメオパシーのレメディーの効果を大幅に減少させると言われています。 |
Copyright(C)Morii |
|