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ホメオパシー獣医師向け講座 第176回


Beryllium ベリリウム


Berylliumは、原子番号4、原子量 9.012182の金属です。ベリリウムは、2族に属する元素ですが、アルカリ土類金属には分類されません。それは、カルシウム以下のアルカリ土類金属類とは、その性質が大きく異なるためです。ベリリウム単体は、銀白色の金属結晶で、六方最密構造を取ります。ベリリウムの主要鉱石は緑柱石や、ベルトラン石といったものがあり、緑柱石のうち、特に色の優れたものはエメラルドやアクアマリンとして珍重されています。1797年に発見されました。

ベリリウムは、鋼に似た灰色の金属で、天然にはアイソトープの9Beとしてのみ存在し、その化合物は2価です。ベリリウムはいくつかの独特な特性をもっています。それはすべての固体の中で最も軽く、化学的に安定な物質で、鉄の約6倍の剛性を持ち、非常に高い融点、比熱、融解熱、強度−重量比(strength‐weight ratio)を有し、幅広い温度範囲で形状を保ちます。また、優れた電気伝導度および熱伝導度、非磁性を示します。ベリリウムは原子番号が小さいため、極めてX線を透過し易く、その核の特性には、中性子の破壊、散乱、反射、α衝撃による中性子の放出が含まれます。ベリリウムは、アルミニウムと共通の多くの化学的特性、特に酸素との親和性を持っていて、ベリリウム表面には、酸化ベリリウム(BeO)の極めて安定した表面被膜が形成されるため、腐食・水分・弱酸類への高度の耐久性を示します。

用途としては、その特性を生かして、原子力関連、X線管、ペースメーカー、レーザー、航空・宇宙分野の先端部分の部品、機械部品、スピーカーの振動板、軍事用電子照準装置、核兵器など、さまざまな製品に使用されています。

ベリリウムには強い毒性があり、金属の中で最も有毒なものの1つで、わずかな量でも摂取すると死に至ります。
ベリリウム製品を使用する人には有害な影響はないようですが、ベリリウムの粉じんに曝露する労働者の場合、感作と疾病の発生率は数%から約10%まで幅があります。ベリリウムは肺内への沈着後、残留し、徐々に血液中に放出されます。血液中で循環するベリリウムの大部分は、コロイド状のリン酸塩のかたちで移動します。吸入量の大部分は、ベリリウムの最終的な蓄積部位である骨内に取り込まれていきます。また、一般に吸入暴露は、肺組織内、特に肺リンパ節内に一定量のベリリウムの長期間貯蔵も起こします。
慢性ベリリウム症は、曝露から数カ月以内で発症する場合もあるし、曝露しなくなってから30年後に発症する場合もあると言われています。ベリリウムに対する感受性には、個体差が大きく影響します。

実験動物における急性ベリリウム中毒の症状には、急性肺炎、呼吸機能不全、痙攣、低血糖ショック、呼吸麻痺などがあります。
皮下組織内ベリリウムの移植では、肉芽腫が形成され、溶解性ベリリウムの皮膚内注射により、皮膚過敏性が起きました。
慢性ベリリウム症の症状としては、呼吸が短くなる、慢性的な咳、発熱、血痰、寝汗、胸と関節の痛み、心拍数の上昇、食欲減退、体重減少、疲労、全身衰弱などがあります。心機能不全を伴う右心房の拡張、肝腫、脾腫、チアノーゼ、湾曲指肝機能障害、腎臓結石、骨硬化症、肉芽腫を伴う慢性肺炎や肺癌も認められています。ベリリウムによる肺がんの誘発は、動物種に対して特異性が高いといわれ、ウサギ・ハムスター・モルモットでは肺腫瘍は認められていません。
慢性ベリリウム症の肺は、肉眼的には、広範囲に散在した小結節と、間質性の線維症を伴う広汎性の病変を示します。顕微鏡的には、間質の炎症を伴う類肉腫様の肉芽腫が認められます。

ベリリウムの毒性メカニズムは、次の三つによります。
(1) ベリリウムは、重要な酵素類、特にアルカリ・ホスファターゼの阻害によりリン酸塩の代謝に影響を与えます。
(2) ベリリウムは、核酸代謝の酵素への影響により細胞増殖と複製を阻害します。
(3) 細胞介在の皮膚過敏性のような免疫学的メカニズムを持つと推測されています。

Berylliumは、主に呼吸器疾患、アレルギー疾患、消耗性疾患、癌体質などに対して使用されます。

呼吸器系
肺サルコイドーシス(類肉腫);呼吸をすると痛みがあり、動くと悪化します。呼吸困難にもなります。咳は、深く乾いていて痛みを伴います。咳は、体を後ろに反らせたり、喫煙などで悪化します。痰に血液が混ざっていることもあります。
肺結核
塵肺
急性、慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎;刺激性のある鼻水で、症状は外気で好転します。鼻の中に打撲を受けたような痛みがあります。
喉頭部のポリープ
慢性喉頭炎;ズキズキする頭痛を伴い、焼けるような痛みが左から右の乳様突起にかけて走ります。常に飲み込む動作をします。

慢性消耗性疾患
消耗性疾患;微熱があり、徐々に体重が落ちていきます。脈は速めで、衰弱感があります。足腰が弱り、立っていると倒れそうになります。

○ 血液
高色素性貧血;白血球は増加します。カルシウム値、血清総蛋白値も上昇します。

○ 心臓
不整脈、心筋炎;動悸と胸部の締め付け感があります。

○ 肝臓
肝機能障害
急性胆嚢炎、胆肝炎
慢性胆嚢炎;胆石を伴うこともあります。

○ 皮膚
皮膚の腫瘍性病変


好転する要因は、新鮮な空気、寒さなどです。
悪化する要因は、運動、暑さなどです。

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