Sanguinaria canadensisは、北米原産のケシ科サングイナリア属の落葉林や堤防などに自生する多年草植物です。他のケシ科の代表的なレメディーには、ChelidoniumやOpiumなどがあります。Sanguinariaの多くはロッキー山脈の東側に自生しています。高さは25cmくらいになります。早春になると、一枚の大きな葉に1本の花茎が出て、日が当たると直径5cmくらいの純白の花を咲かせ、夜になると花を閉じてしまいます。葉は一枚で幅が20cmにもなります。開花前には縮んでいた葉も、開花後には、大きく開いて葉は丸い青みがかった緑色の多小葉になります。学名のSanguinariaは、ギリシャ語のsanguis(血)に由来します。これは、この植物の根塊の汁が赤いところから付けられています一般名もBloodrootと呼ばれています。この赤い汁はサンギナリンというアルカロイドを含む薬用になります。
アメリカ先住民は、この植物を外用と内服によってリューマチ、風邪から皮膚の腫瘍に至る様々な病気の治療に使用していました。またこの根茎の赤い汁は、織物の染色に使用したり、顔や体のボディペインティングに使われていました。ポンカ族ではおまじないとしても使われ、未婚の男性がこの汁を手に取り、なんとか意中の少女の手を握ることが出来れば、5-6日以内に少女は結婚したくなると言われています。
この植物には、毒性があるために内服するとひどい下痢を起こします。また根のパウダーは、吸入すると鼻粘膜を刺激し、くしゃみが出ます。種には、若干の麻薬性の作用も認められています。
Sanguinaria canadensisの根茎には、各種アルカロイドが含まれており、その代表的なものとしては、サンギナリン、チェレリスリン、プロトピン、βホモチェリドニン、γホモチェリドニン、コプチジン、バーベリンなどがあります。これらによって、中枢神経系が刺激され、また呼吸器系、心血管系、消化器系に対する作用もあります。
レメディーは、この植物の根茎が原料になります。
このレメディーは、数人のホメオパスによってプルービングされ、The Materia Medica of American Provingsに発表されました。
Sanguinaria canadensisは、特に心血管系、呼吸器系と消化器系の粘膜に強い親和性を持っています。右側優勢のレメディーです。更年期の女性には特に好んで処方されます。
周期性には、2、3、7日周期があります。
○ 循環系
周期的な頭痛;主に右側の頭痛。頭痛は嘔吐や睡眠、おくび、放屁などで痛みが和らぐことがあります。典型的な頭痛では、右側の首の後ろ側や僧房筋のあたりから痛みが始まり、後頭部を通って、前頭部と眼のあたりまで広がってきます。右の目のあたりだけが痛いこともあります。また頭痛は、騒音や光、空腹などで悪化する傾向があります。頭痛の最中は、顔が赤くなり、頸動脈の動悸が感じられます。
充血性頭痛
顔面神経痛
顔の紅潮;更年期障害や高血圧症の時。
○ 呼吸器系
花粉症;臭いや花の香り、花粉などに非常に過敏になります。
鼻感冒;くしゃみが頻発します。
夏の風邪
鼻のポリープ; ポリープは出血傾向があります。
アレルギー性喘息
肺炎;特に右側の場合。咳をすると痛みが走り、喀血や呼吸困難を伴うことがあります。咳は、おくびや嘔吐、放屁で楽になる傾向があります。また、横になると咳が悪化します。手足の先端に焼けるように熱い感覚が出ることがあります。また、鼻粘膜や咽頭部の粘膜の焼けるような感覚があり、新鮮な空気を吸うことによって楽になります。胃の不調が随伴することがあります。
進行した結核、百日咳、気管支炎、ウイルス性気管支肺炎などの呼吸器疾患。
○関節
右肩関節の滑液包炎
肩の痛み;寝返りで痛みが強くなります。腕を上げると痛く感じます。睡眠中に手足は暑く感じられ、布団を剥いでしまうことがあります。
右三角筋神経痛;痛みは夜や湿った気候で悪化します。
右肩関節周囲炎
手の甲や向こうずねの痛み
○ 消化器系
食道炎;朝食を食べたがりません。特にバターや甘い物は嫌います。喉は渇きます。
下痢;上記の呼吸器症状と交互に起きます。
○ その他
右目の結膜炎;斑状出血を伴います。眼球は動かすと痛いです。視界は、雲の中にいるように曇って見えることがあります。
右の耳痛;通常上記の頭痛に伴って起きます。
うるしかぶれ
歯痛
乳腺癌;呼吸器系と消化器系の激しい粘膜の炎症を伴う場合。
好転する要因は、睡眠、暗くすること、左下に寝ること、放屁、嘔吐、おくびなどです。
悪化する要因は、騒音、臭い、光、運動、寒い湿った気候、隙間風、触られること、右下に寝ること、甘いものを食べること、花の香りなどです。
Compatible; Belladonna.
It antidotes: Opium.
Complementary: Antimonium-tartaricum.
|